もしも私がレッドツェッペリンの映画を撮るとしたら、1968年8月12日に焦点を当てて、プラントとボーナムを中心にして脚本を書くね。
この二人がこの日を境に最も世界が変わったし、なによりやっぱりプラントには華がある。そして「20歳までに物にならなかったら諦めよう」そう思っていたプラントが、20歳になる8日前に夢が叶う切符を手に入れた……ドラマチック。しかも事実。完璧。
あと、『Led Zeppelin』を俳優が演じるのは嫌なので。『Led Zeppelin』は、あの四人でしか有り得ないので。些細だけど、ここ大事。
1968年8月12日 月曜日
新バンドの顔合わせに向かうため、プラントとボーナムはウェストミッドランズを出発する。
ボーナムの妻パットからボーナムを連れ出す許可を得たものの、将来の不安とプラントへの不信感から何か言いたげな表情のパットに向かって、とりあえずニッコリ微笑み、調子のいいご挨拶を済ませる。
ボーナムを新バンドに加入させるために紆余曲折あったので、ここで心変わりをされたら堪らないとばかりに、そそくさとボーナムの肩を抱き、バンに押し込むプラント。
ボーナムの母から借りたバンで、ウェストミッドランズからロンドンまでの約3時間ほどのドライブ。軽口を叩きながら、期待と不安に胸を膨らませる二人。たまにちょっと喧嘩する。ドタバタ珍道中。
ロンドン近郊の自宅から向かうペイジとジョーンズの様子も合間に挟む。
※40分ぐらい
ふいにプラントは、シンガーになりたくて家を飛び出した16歳のあの頃を思い出す。
※ここから二人の出会いから今日を迎えるまでの過去の出来事をダイジェストで入れる。ペイジとジョーンズの活動も「一方その頃……」と入る
※60〜90分ぐらい
そして、今日という日を迎えた四人がロンドン、ウェストエンドのジェラードストリートにある小さくて狭い地下室に集結した。
「ベースはベテランセッションマン」そう聞いていた二人は、想像と違う穏やかそうな青年を紹介されてびっくり。何故か驚かれてちょっと困惑するジョーンズ。三人の様子に、仕掛けは上々とにやけるペイジ。
やや緊張しているプラントとボーナム。淡々と準備を進めるペイジとジョーンズ。
「何がいいかな……Train Kept A-Rollin は知ってる?」と、ペイジ。「知らないけど、それにしよう」と、ジョーンズ。その“ベテラン”のやり取りを見つめるプラントとボーナム。
「Ok ———」
カウントを促すペイジ。それに頷き、カウントを取るボーナム。ボーナムのスティックが振り下ろされ演奏が始まる直前で、暗転。そしてそこに、四人それぞれが語った当日の感想が映し出される。
August 12, 1968First Rehearsal
※この奇跡の瞬間は彼らだけが知っていればいいので敢えて撮らない。本編はちょっとだけならフィクションが混じってもいいけど、ここだけは絶対に「嘘」が混じってはいけない。だから撮らない。
本編はここで終了
エンディングは、映し出された文章がゆっくり消えるとそこに Good Times Bad Times が鳴り響く(超爆音で)。そして、曲をバックにレッドツェッペリンの歴史をなぞるように実際の彼らの映像や写真が時系列で流れる。あの日からいい時も悪い時もあったよね……という、思いを込めて。そして最後は、ボーナム訃報のニュース映像から1980年12月の解散表明文が映し出されて、再び暗転からのペイジ、プラント、ジョーンズが並んで現在のジェラードストリートを歩く姿を映して、そのバックショットでおしまい。
面白いかどうかわからんけど、書いててめっちゃ楽しかったyo!