Black Dog’s Breakfast

鉛の飛行船への胸いっぱいの愛を変拍子で叫ぶブログ

いかにして彼女らは鉛のリズム体のミューズとなり得たか ④

Mo奥さんとパット奥さんの違いは夫が既に音楽で飯を食えてるか、否か

 

Mo奥さんにしたら、夫の実力と才能は十二分に理解してる。音楽業界の中で横移動するだけ。たとえ新バンドがポシャっても次の仕事はすぐ見つかるだろう。なので、それほど不安には感じなかったと思う。(憶測だが、二人とも堅実そうなので貯金とか困らない程度にはあったんだろうし)

それよりも、仕事に忙殺され現状に不満を抱えて、鬱々として夫がダメになっていくよりは心機一転してもらった方が全然いい、と考えたのかもしれない。

 

それでも、出産前後の大変な時期にポンと背中を押せるのはやっぱり凄い。しかも結成当初は、ペイジ、ジョーンズともに、プラント・ボーナムの週給や諸費用などで結構持ち出しがあったようなので、ホント、Mo奥さん偉い。

あと、ジョーンズ自身は当初「新バンドは34年ぐらい続くかな」などと予測してたというから、Mo奥さんもそんな感覚だったと思われる。

 

 

パット奥さんにしてみたら、夫がドラムが好きでやめられないのは受け入れたとしても、夫の実力が世間でどれほど通用するかわからないし、将来は不安だし。でも、やっとそれが形になるって時に、巡ってきたチャンスを投げ打って、また振り出しに戻るのか、おまけに息子は2歳になったばかりで、となったら……反対するよねえ。しかも、その話を持ってきたのが「旦那を唆す悪い奴」こと悪友・ロバートプラント。難色示すよねえ。

 

ただ、幸いなことに、夫の実家は太かった(建設会社経営)。結婚当初の貧乏暮らしを考えると実家には頼らずにいたのはわかるが、取り敢えず最悪な事態になったとしても路頭に迷うことはないだろうと、多少は拠り所にはできたのかもしれない。

 

いろいろと不安な気持ちとイヤイヤ期盛りであろう2歳児を抱えて、最終的にはその背中を見送って支えたパット奥さんもやっぱり凄い。

 

因みに、結成当初、週給50ポンドだったボーナムはスカンジナビアでの初ギグのあと「機材車の運転手もするから、あともう50ポンド欲しい」と、ピーターグラントに交渉したそうだ。週給50ポンド自体、バンド加入を打診された時に値上げ交渉しての結果。嫁と息子を食わせにゃならんからね。お金大事。

 

 

煌めく奇跡の瞬間を迎える1968812日の前夜に、伝説のゴールデンコンビが誕生するその切っ掛けに、素敵で素晴らしい二人のミューズがいた。

 

Mo奥さん、パット奥さん、本当にありがとうございます。

 

 

追記につづく